末永みらい ドール

POSTED BY DANNY CHOO On 日 2013/05/05 22:09 JST in ドール

一ヶ月前に書いた「あなたもメーカーになれる理由。大量生産への道。」は結構人気な記事で世界中の様々なサイトやSNSで紹介されました。嘘か本当か分からないエイプリルフールに投稿したから話題になったのかもしれません。
そして嘘から出た誠、とも言われているようにエイプリルフールが現実になりました ^o^
また、サイトのトラフィックから、台湾、中国とロシアはこういったドールの大きな市場だと言う事も分かりました。

今日はうちのマスコットキャラクターである末永みらいのソフビドールの製造進捗や、僕が今回初めて挑む大量生産品のデザインと製作を通して学んだ事についてちょっとお話しようかなと思ってます。参考になれば幸いです!

みらいちゃんは今のところこんな感じ ^o^

完璧ではありませんが、個人的に、初挑戦にしては結構可愛く出来たと思います ^^;

彼女のキラキラなアイが大好き ^o^

そしてロボットパーツがエイプリルフールネタだと思っていた方。あの頃はそうだったかもしれませんが、今は違います ^^; プロジェクトの詳細はこの先を読み進んで頂ければと思います。

みらいVer 1.0はイラストレーターの唯々月たすく先生に描いて頂いたイラストがモデルです。二次元キャラをドール化する際はプリントアイを採用する企業もありますが、僕はレジンアイでベストを尽くす事にしてみました。これに関してもまだ完璧ではありませんが、決しては悪くない^^

前回の大量生産に関する記事では3Dソフトウェアを使ってボディを設計し、3Dプリンターでパーツを出力し、それを元に蝋型の複製品を作り、それから電鋳という手法で蝋型に銅メッキを乗せました。この先は読んでいない方は少し分かり難い内容になるかもしれないので一読をオススメします。

先ずはヘッド製作から解説。写真は型から抜いた直後のソフビパーツです。

みらいのメイクは仲間のRONRONSHUKAさんに手伝って頂きました。
彼女はこの工具を使ってカット後のアイホール裏側を滑らかにしていきます。

アイホールの切り出しは至難の技でしたが、粗い部分はこの便利なドリルビットで滑らかにします。

このドリルビットはドールアイ専用でDOLKParabox等のドールアクセサリーショップでGETできます。

エアブラシでキュートな赤い頬を追加 ^o^

メイクに使用したアクリル塗料を幾つかパシャリ。

僕はまだ完全に理解できていませんが、ドールヘッドのデザインには仕組みがあって、同じヘッドでもちょっとしたメイクの変更点で表情はガラッと変わります。眉の角度、アイラインのデザイン、頬の赤らめ具合、唇の色の組み合わせで全く別の顔を作る事ができます。この事から、このように幾つかバリエーションを用意するのが重要になってきます。

この他にも鼻の位置と大きさ、唇の形、アイホールの形と位置も考慮しなくてはいけません。また、ヘッドは左右対称にならないようデザインするのも重要です。多くの3Dモデラーは顔の片面を反対側に写すといった方法を取っていますが、人間と同様、ドールも顔が左右対称だと宇宙人っぽくなります。

最後は好みです。雇っている3Dモデラーがヘッドの造型に満足していても、僕が満足するとは限りません。企画を実現させるのはプロデューサーなので、ヘッドの造型はプロデューサーの好みに合わせるのは肝要です。また、プロデューサーがプロジェクトに信念を持つ上では製品の見た目や全体的な感じに110%満足する事も重要となってきます。

僕が依頼しているイラストレーターさん達には何時も頬に「////」の線を入れてもらっているのでドールも例に洩れず追加。

最初はボディ/アイ/ウィッグを使用した際の見た目が微妙に異なるメイクを3通り用意。次はステンシルのような役割を果たす塗装マスクの用意。塗装マスクは各塗装レイヤーに1枚ずつ必要です。全て手作業で行う訳にはいかないので大量生産では必要不可欠。
マスク工場で撮った写真は近日アップします。

満足のいくメイクが出来たところでヘッドにメイク保護用のトップコートをスプレーしていきます。トップコートを吹く前ならメイクを修正する事もできます。

今度はアイの作成。これに関してはアクリルで作るか、レジンで作るかで悩み中。アクリル製は大量生産をする場合安く済みますが、レジン製は値段が高いものの目のキラキラ分が強く、よりリアルな雰囲気が出ます。
写真に写っている黒いドーム上の物体はアイの原型で、粘土の上に設置されています。同じく写っているのはシリコーンゴムの缶。

シリコーンゴムに硬化剤を投入中。赤い材料ですが掻き混ぜれば色は殆ど気になりません。

今度は硬化剤とシリコーンゴムを掻き混ぜます。混ぜ終わったらアイの原型と粘土がある容器の中に注ぎ込みます。

シリコンが硬化したら粘土とアイの原型を取り除き、シリコンの型が出来上がります。ただシリコンの特性上、数回(5回程度)使うと素材の劣化が始まり使えなくなります。

実はドールアイのデザインは紙に印刷されたものなのです。写真用紙に高DPIで印刷する事をオススメします。ドールヘッドではアイのデザインも重要なファクターで、グラデの濃さやハイライト部分の大きさも決めなければいけません。ハイライトの部分が十分な大きさでないとヤンデレっぽくなりますが、そういう表情が欲しい方なら特に問題はないかと ^^;

クリスタルレジンスーパークリアを窪み一つ一つに注ぎます。 この上にプリントしたアイをうつ伏せで乗せます。

そしてこれがアイデザインのバリエーション。レジンアイの難点は缶から液体を注ぎ込む関係で気泡が入りやすくなる事です。気泡は脱泡機を使えば除去できますが、巨体なので一般家庭には中々置けません ^^;

型から抜きたてのみらいちゃんのパーツ10セットが到着。

そしてこれがこれから色々と実験を重ねるおっぱいパーツ ^^
ソフビのスラッシュ成形は玩具製造の中ではかなり安い部類で個人でも気軽に自作商品が出来ます。
グッドスマイルカンパニーが最近同じ手法で作っているディテールの細かい商品からも見て取れるように、ソフビでは凄いディテールを生み出す事ができます。

前回も触れましたが、おっぱいの部分は湯口を付けずに設計してしまったのでこんな風に出来上がりました。問題はどう切っても...

…このように切断面が見えてしまう点です。原因はおっぱいの表面が切断面と重なっているからです。皆さんが商品をデザインする時は分割線やバリの位置を決定付ける成形方法も考慮し、これらがなるべく目立たないように設計する事をオススメします。
この型には不満があるので金型やり直しです。

全て3Dでデザインしたのが不幸中の幸い。おっぱいパーツはZBrushで切断面がおっぱいの裏側になるよう調整。次は3Dプリンターで再出力し、シリコン型から蝋型の複製品を作ります。

そしてこれが湯口付きの蝋型複製品。次はこれを磨き上げ、銅メッキを施して最終製品の型を作ります。このおっぱいはこの工程の後溶かされます。

今度はスマートドールのお話。当時はリソースが足らず、4月までに間に合わなかったので3Dで作りました。リアルにレンダリングできたのはHDRi Light Probeテクニックを使ったからだ。
スマートドールは日本のロボット業界の間でも話題になり、これを機にロボット専門家の方々数人と会う機会もできました。現在は実現に向けて彼等と一緒に絶賛開発中 ^o^

使う予定のサーボモーターの一部です。

スマートドールは計24個のサーボモーター、CPUボード、Bluetoothとタッチセンサーなどで駆動します。現在は既存のMMDシークエンスを踊ったり、Kinectで操作できるようデザイン中ですが、ファームウェアVer 1.0ではまだ実装されないかもしれません。初期段階は外部電源で、Lプラグ用ソケットを首の後ろに配置します。また、ヘッドにはタッチセンサーを備えるので撫でると可愛い仕草も見せてくれます。モーター音は割と気に入っているので防音対策は施さない予定 ^^

仕事中はドールをコンセントに差し、アイドルモード(部屋を見渡したり、体を動かせたり)に設定し、勝手に動きながら作業に付き合って貰う事も可能。感覚としてはMiraiClock3と同じですね。
携帯性に関してはUSBモバイルバッテリーで充電できればと思っていますが、電池の消費量によってはノートパソコンでも使われている強力なバッテリーを使うかもしれません。

アイドルモード以外にもボタン一つやAndroid携帯(iOSはその後)で動かせるプリセットも用意します。

現在は腕と頭を外せるようデザインしています。第一号は6月中に完成予定。

スマートドール版は値段が高めになりそうですが、オークションに出ているスタンダードドールよりは安価です。
また、衝突検知機能を備えたSolid Worksを使ってより安価なスタンダードフレームも用意しています。

フレームの一部も3Dプリンターで出力。満足のいくフレームが出来たら今度は射出成形でパーツを作る必要があるのですが、これはスラッシュ成形と比べて費用はかなり高め ><

しかし、フレームの殆どは市販品のパーツで出来ているので、OEMパーツとしてバルク品を購入し、開発費を抑える事もできます。写真に写っている骨格はポリアセタール(POM)で出来ていて、高い強度、衝撃耐性、弾性率によって様々なポーズが維持できます。最終バージョンは肌色と同じ色になる予定です。

そして次はウィッグ。たった一つの製品ですが、考慮する点はかなりあります ^^;

現在は手持ちのウィッグを自分の好みに合わせてスタイリングしてます。製品版にはOEMとしてバルク品を購入するか、値段次第ではウィッグ工場でオリジナルウィッグを開発するかもしれません。

今度はボディのディテールにクローズアップ。写真に写っているおっぱいパーツは旧型で、新型ではあの部分はより落ち着いた色になる予定 ^^;

みらいVer 1.0の製造プロセスと生産ラインが確定したら小さいおっぱいも用意します。どうしてこんなにおっぱいが大きいのかとたまに質問が飛んできますが、実際はDDのL胸よりほんの少し大きいだけです ><

60cmドール用にデザインされた衣装ならうちのみらいちゃんも着れますが、胸が大きめなのでDD専用のドレスだと厳しいかもしれません ^^;

ドールオーナーはボディ全体を見る必要があるので他のドール商品ページと同様、写真にモザイク等はかけませんでした。

以下数枚はみらいちゃんが生まれたままの姿で撮った写真。

そして服を着せるとこんな感じになります ^^;

DD由綺ちゃんにフィットする衣装セットですが、みらいちゃんにも結構ピッタリ。

そして最後の数枚はカナダ在住のドレスメーカーChunさんに作って頂いた森ガール衣装

予定としては年内にスマートドール版と通常フレーム版の予約を開始できればと思っています。スタッフがもっといれば更に早く出せますが、現時点では僕が一人でプロダクションを全て管理しているのでちょっと難しいです ToT

他の娘達とみらいちゃんを一緒にパシャリ。

前日も触れたように経済産業省クリエイティブ産業国際展開懇談会の一員としての僕のもう一つのアジェンダは日本の「町工場」を活性化させる事です。町工場は日本各地に点在する小規模の工場で金型製作、スラッシュ成形等の製作技術やギア/革製品等に特化しています。中には数世代続いている町工場もあり、技術のノウハウは代々受け継がれています。
ただ、後継者不足や海外アウトソーシングによる新規発注の少なさが原因で閉鎖する町工場も少なくありません。

上の写真はプレゼンのスライドで、日本のクリエイターと町工場を繋げる仕組みを解説しています。両者がタイアップすれば日本のクリエイターは町工場の力を活かして作品造りに挑む事ができます。出来上がった製品は僕が海外に向けて紹介し、これは日本の技術力と創作力のPRにも繋がります。

日本のクリエイターの多くはどの工場を使えばいいのか分からず、ネット上に載っていない町工場もあるので詳しい人と相談をする必要が生じてきます。

また、日本のフィギュアやドールの多くはアニメやゲームからライセンスされている製品で、先程も触れたライセンス問題の関係で国内のみでしか取り扱われていません。
オリジナルキャラクターに基づいたドールやフィギュアを作るクリエイターが今後増えれば、ライセンス問題に囚われる事なく、これらの製品を通して日本の技術力や職人技を世界に発信できます。
輸送の課題もありますが、これに関しては海外輸送に長けたTenso.com等の運送会社にいる僕の仲間等をクリエイターさん達に紹介できます。

これまでのドール製造工程は以下の記事で紹介してきました。これらの内容はドールに限らず、フィギュアや他の自作商品にも活用できます。

#ラピッドプロトタイピングでドールを自作してみました
#あなたもメーカーになれる理由。大量生産への道。

記事を全部読む時間が無いという方は、ドール製造(或は他の商品)の大まかな内容(工程を幾つか飛ばしています)を以下のリストにざっくりまとめました。

  1. 僕みたいにグーグル先生を使って3Dソフトウェアの使い方を学ぶ。3Dソフトウェアの値段が高過ぎると感じる方は無料で優れたBlenderという選択肢もあります。
  2. 僕らはモデリングではZBrushを使い、3D Maxで調整しました。
  3. 3D出力用のデータを用意。
  4. 3Dデータの出力。
  5. 3D出力したデータを元にシリコン型を作成。
  6. シリコン型から蝋型の複製品を作成。
  7. 蝋型の複製品に電鋳を施して大量生産用の金型作成。
  8. 型に塩化ビニールを流し込んでドールパーツを成形。
  9. バリを切り取ってドールを組み立てる。
  10. アイを作成。
  11. メイクを施す。
  12. みらいちゃんと遊ぶ。
  13. 目標達成。ボスレベルへ進む。

自作商品を作りたいと思っている方は先ずは無料で相談を受け付けてくれるグーグル先生と話してみましょう。知識を備えれば皆さんのアイデアにも活用できます。
日本で製品を作りたい方は製造を監督してくれる人達を僕が紹介します。言語に不自由がなく、製造工程を熟知している方には工場を紹介できます。
製造費用が無いという方は僕のようにレストランで働いて貯金です。言い訳ばかりしていないで、行動あるのみです。

末永みらい関連の商品は順調に増えてます ^o^

スマートドールの情報は全てsmartdoll.jpでキャッチできます!

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