第1回クリエイティブ産業国際展開懇談会議事要旨

POSTED BY DANNY CHOO On 日 2013/04/28 14:31 JST in ジャパン

今月上旬にもお伝えした通り、僕は日本政府により経済産業省クリエイティブ産業国際展開懇談会のメンバーとして任命されました。会議のネーミングは長く、英語だと尚更なので以降は「METI CIIC」と略します ^^;

委員会は月に一度経産省で集まり、日本のクリエイティブ産業の国際化政策へと繋がる議題を上げ、議論が交わされています。

一番目の写真は先週行われた第2回目で委員を務めるバンダイナムコゲームズ、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ホリプロ、講談社、伊勢丹、三井不動産、TBS、ギャガ株式会社等の社長の方々と一緒に撮ったものです。僕から向かって右にいらっしゃるのが経産省副大臣の菅原一秀さん。委員会の名簿は経産省ウェブサイトにて。

新たな役割を得たので名刺も新たに作りました ^^; 2枚で多いと感じる人もいるかもしれませんが、僕は以前一人から5種類もの名刺を渡された事があります ^^;

政府の各施設は東京の霞ヶ関周辺に位置していて、すぐ隣には日比谷公園もあります。

会議内容は数週間後に経産省ホームページにアップします。以下が第一回目の会議のまとめです。

  • 海外の人が海賊版、安物しか買わないという先入観は取り除いた方が良い。正規品の海外ニーズは非常に高い。日本の商品をもっと海外で販売できるよう環境整備をするべき。
  • スマートフォンコンテンツ、ソーシャルゲームと言った日本の優位性を発揮しやすく経済効果の大きい産業を支援対象として検討すべき。
  • アジアにおいて、日本のアニメやゲームを知らない子供はいない。ただし、その地域ではアニメやゲームを販売していない。海賊版対策を行うべきと考えるが、他方で、海賊版のコンテンツを楽しんでいる現状がある。このニーズをくみ取るためにも、スマートフォン等の世界中に同時に普及しているハードと連携し少額課金でのビジネスモデル構築を行う必要があるのではないか。
  • 伝統と現代、和と洋、このような形でコラボレーションをして、新しいリノベーションに繋げていくというのが大変大事。クール/ジャパン推進機構においても、こういた案件を積極的に手がけていただきたい。
  • 海外で商業施設を開発しようとしても土地が買えない、テナントを借りられない、といったのが現状である。その背後には相手国の外務省や官製ファンドが見え隠れする。そういった局面を打開する取組が今後は必要。
  • そのまま売っても価値は伝わらないので、その価値をどうやって高めていくかが重要。特に海外においては、新しい価値が相当できていないと評価されない。まず国内で新しく開発して、価値を向上させるための場の提供が必要。また、その物の裏にある背景、コンセプトみたいなものを消費者に伝えることが必要であり、また、それを上手く伝える人が必ず必要である。
  • ファッションは基本的には中小企業が多いので、海外で拠点をつくって、中小企業がそこに進出し、取りまとめる場を作る必要がある。
  • 中国においては、尖閣問題があったにも関わらず、日本製品の需要がある。
  • 海外展開する際に、どう現地にカスタマイズして行くのがポイントだと考える。
  • 日本のファッションはアジアから非常に注目を集めている。ファッション雑誌については、アジアでの部数が日本の部数を超えている状況である。ただ、問題なのは、商標権や海賊版対策である。
  • ファッションにおいても様々な産業と組むことによって、海外進出を更に深めていく必要がある。

  • 海外の日本のイベントにおいて、何十カ国といった人々が日本語で歌を歌っている。そのほとんどがYouTubeで流れているもの。海外の人は海賊版をもっていたが、最近では正規品を持っている割合が増えてきている。正規品は必ず音が入っており、かつ、限定版のお土産がついているのが理由。これは日本人の感覚でいうと2万円くらいの価格になる。こういった富裕層をまず狙っていく必要があると思われる。
  • 在京イタリア大使館は、例えばフェラーリの展示会をやったりする。日本の大使館や領事館をもっと一企業のために解放するべき。
  • まずは民間で海外展開の努力をすべき。その際に、国の支援策が明らかになっていると、民間も利用しやすいのではないか。
  • インバウンドとアウトバウンドは表裏一体と考えるべき。インバウンドを引き込むことによって、日本の強みが分かるので、出て行った時に、やはりそれが売れるということになると思う。
  • ステップ1である情報発信については、コンテンツだけでなく、同時にネットを絡めて放送とリアルのイベントとネットソーシャルというメディアミックスで展開するのが波及効果があるのではないか。また、ネットソーシャルとなると人が鍵になってくるので、本当にインフルエンサーになる個人のネットワークをどれだけ世界に作れるかというのが大事。
  • 海外に店舗をつくって普通に商売することは限界を迎えている。新しい商売の形態を考える必要があるが、間違いなく日本文化を入れていくこととなる。
  • コンテンツ、あるいは商業施設、それから具体的な消費財やサービス、これをなるべくパッケージでクロスカテゴリーで、ブームを作り、それを商売につなげていこうと、こういうのがクールジャパン推進機構の役割と考えている。具体的な役割のあり方について議論を深めていく必要がある。
  • コンテンツの海外展開についてのローカライゼーション、プロモーションについては155億円の補正予算が計上されている。ステップ1として、いかに早く積極的に効果的に使用していくのかが課題である。

円卓会議は一時間しか行われないのでそれ程多くの議題はカバーできませんが、次回からはレポート提出が求められるようになります。第二回目の会議(内容は数週間後に経産省ウェブサイトにアップ予定)では僕は日本文化普及において、日本コンテンツのファンがコンテンツを広めやすくする事の重要性を取り上げました。
韓国では権利関係の問題があまり多くないのでコンテンツは流通しやすく、この流通も殆どファンが担っています。

KPOPのコンサートでは大抵写真撮影やビデオ録画が許可されていて、その多くはYoutubeでシェアされています。「KPOP Concert」と検索をかければ340,000もの検索結果が出て来ます。一方、「JPOP Concert」の検索結果数は35,000でコンサートの動画は殆どありません。
この差の原因は日本アーティストの管理者やレコード会社が写真撮影やビデオ録画を禁止しているからです。例えYoutubeでコンテンツがファンによってシェアされても、彼らはマッチング機能で権利を持っている音楽が載った動画を自動的に削除するのがよくあるパターンです。

とある友人もFacebookで日本アーティストのファンページを開設していましたが、レコード会社がFacebook運営にページの削除とページ管理者への警告を求めるという残念な結果になってしまいました。ファンへの裏切りもいいところです。

日本コンテンツの英語版は数が極めて少ないので、ファンはそれを補う形でウェブサイトやファンページを作成しています。しかし、日本コンテンツのオーナーはそれらの情報をネット上から削除する事に全力を尽くしているのが現状です。

副大臣にはこれらの説明を通して、日本アーティスト/コンテンツ権利の管理には大幅な改正が必要だという理解を得る事が出来ました。

今日のミーティングはこれで終了。この写真は駅に向かっている途中に撮りました。前に見えるのは東京タワー。会議内容の要約は公開され次第こちらでもアップ予定。

一日の締めはガストに限りますね。

僕のもう一つのアジェンダは日本の「町工場」を活性化させる事です。町工場は日本各地に点在する小規模の工場で金型製作、スラッシュ成形等の製作技術やギア/革製品等に特化しています。中には数世代続いている町工場もあり、技術のノウハウは代々受け継がれています。
ただ、後継者不足や海外アウトソーシングによる新規発注の少なさが原因で閉鎖する町工場も少なくありません。

上の写真はプレゼンのスライドで、日本のクリエイターと町工場を繋げる仕組みを解説しています。両者がタイアップすれば日本のクリエイターは町工場の力を活かして作品造りに挑む事ができます。出来上がった製品は僕が海外に向けて紹介し、これは日本の技術力と創作力のPRにも繋がります。

日本のクリエイターの多くはどの工場を使えばいいのか分からず、ネット上に載っていない町工場もあるので詳しい人と相談をする必要が生じてきます。

また、日本のフィギュアやドールの多くはアニメやゲームからライセンスされている製品で、先程も触れたライセンス問題の関係で国内のみでしか取り扱われていません。
オリジナルキャラクターに基づいたドールやフィギュアを作るクリエイターが今後増えれば、ライセンス問題に囚われる事なく、これらの製品を通して日本の技術力や職人技を世界に発信できます。

これは、ここ半年間プロジェクトを進めていた末永みらいドールです。作り方はこの記事で紹介しています。ただのエイプリルフールネタだと思っていた方も多かったようですが ^^;

またプロジェクトの一環として、日本国内や海外の方でも自分でドールやフィギュアが作れるよう、ドール製作で使った様々な工場も取り上げていく予定です。ちなみにドールはスラッシュ成形という技法で作られていて、金型は射出成形より大分安く済むので個人でもお手頃価格でできちゃいます。

工場の登録簿を扱うウェブサイトも立ち上げます。流れとしては僕が工場に一件ずつ訪れ、施設内の写真を撮ってサイトに上げるという形になります。
日本語が喋れない、もしくは日本に頻繁に来れない海外の方がコンタクトを取れるバイリンガル(日英)なプロデューサーの名簿も作る予定です。またこれらの町工場で働いてみたい方への求人も出します。

このプロジェクトは東京商工会議所の方々にも協力して頂いて進めていきます。
また、皆さんがアイデアを実現させやすくする為に、ドールやプラスチックの製造に限らず、革や他の素材を扱う町工場もピックアップしていく予定です。

皆さんは今まで自分で作って大量生産してみたかったものはありますか?