3Dテクノロジーを用いた末永みらい自作ドールの製作方法について2月頃に触れたと思いますが、これも良い機会だと思い、ビニール製ドールの大量生産ラインの導入し方も勉強しようと思いました。今日はソフビドールの大量生産のノウハウを皆さんと共有したいと思います!
グーグル先生には長い間勉強に付き合って貰い、これがその成果です!
手順としては先ずドールの3Dパーツを再出力し、この3Dパーツからシリコン型を取り、それを元に複製品の蝋型を作ります。次には蝋型に銅電鋳を施し、金型を作ります。僕のみらいドールはこの金型で大量生産されます ^o^
本記事では今回僕が試行錯誤を経て学んだ事をシェアし、皆さんも身近なリソースを使って製品を大量生産出来ればと思っています。
ドールのデザインについて前回のおさらいをしますと、ボディは手作業で造型するとなると開発期間が一年近くは掛かる上、修正の必要が出てくれば悲惨な状況になってたかもしれないので全て3Dでやる事になりました。全体を数%だけ縮小または拡大する修正作業など想像をしただけでゾッとします。
今回体の造型に使用したソフトのZBrushは映画、ゲームやアニメ制作等でも使われています。造型や今回肝となるスタイルが良いドールボディの制作にはうってつけです。
下記動画ではトロンやアバターでどの様に使われていたかが分かります。
その後はデータを3D Maxにインポートして様々な修正を加え、全パーツがちゃんとはまり、動くかどうかを確認。
Netfabbでデータの出力の準備。大きさは出力機の種類によりますが、全てのパーツは一定の範囲内に収まらなくてはいけません。
僕らがパーツの出力に使っているのはEnvisiontec Ultraのラピッドプロトタイピングマシン。技術解説は下記動画にて。
次の動画では実際どのようにパーツが出力されているかが詳しく紹介されています。
次のステップは3Dパーツの複製品の蝋型作成に使うシリコン型を出力した3Dパーツを用いて作ります。3Dパーツは初期プロトタイプで「原型」と呼ばれています。
3Dパーツを出力する際は最終製品より6%大きく出力する必要があります。これは蝋型の複製品と金型の作成を経てサイズが収縮するからです。サイズを調整せずに作ると想定していたサイズより6%小さい製品が出来てしまいます。
この収縮こそ手作業ではなく3Dを用いて原型を作った理由の一つです。この手法ならばパーツを実際のサイズで3D出力して現実世界でどのように見えるか確認でき、型を作る時は数字を入力するだけで全てのパーツを6%大きくて出力できます。これは全てが手作業で行われた場合はできません。
勿論、初期プロトタイプを最初から6%大きく作るという手もありますが、修正作業は難しくお金も掛かります
ヘッドの次にボディで重要な部分 ^^; 見た目はあまり良くないですが、ソフビパーツを作る金型はどれもこのような姿をしています。カルチャージャパン第一期のオビツ工場回を見た方は既にご存知かと思います。
この日を随分長い間待ち侘びました ^o^
MyNaviではスラッシュ成型を請け負っている他の工場が紹介されています。読めばこの分野の知識が広がる事に間違い無しです。
左側のIplehouseと右側のDollfie Dreamとの比較。僕のみらいちゃんは他の二人より少し背が高めです。
SQ Labsのドールとの比較。
Valkyrie Gateから買ったこのドレスに関してはおっぱい回りが少しきつめのようですね ><
ドールは大好きですが、実際に彼女等とやりとりが出来たらもっと素晴らしくなるのではという考えがありました。スマートフォンとやりとりをしている人達からヒントを得て、アンドロイドベースのOuyaというゲーム機器にも最近触発されました。
アンドロイドは素晴らしいオープンソースのプラットフォームで(僕がAndroidを使い続ける理由はこちらの記事で紹介)、このプラットフォームでゲーム機器を作れる人がいるのなら僕も応用してインタラクティブなドールを作れるのではないかと考えました。
このような経緯を経てSmart Doll Operating System Skeleton V1.0 (SDOSS)が生まれました。
僕のプロフィールやレジュメにも書いてありますが、僕は以前ネイチャーという科学雑誌で務めていました。ネイチャー勤務時代にはカーネギーメロン大学ロボティクス研究所で彼らのロボット義肢研究を取材した事があり、そこでは様々な研究者と出会う機会がありました。
ここ5ヶ月間は彼らと一緒にSDOSSを開発していて、漸く試作機一号が完成しました!この機械の利点はパーツが全て秋葉原で揃うという点です。
パーツとそれぞれの機能にクローズアップします。ユニットは幾つものサーボモータとプッシュロッドで構成されていて、サーボコントローラーとアンドロイドボックスで制御されています。
本機には1.5 GHz Quad-Coreプロセッサが搭載されていて、また、現在収録しているUTACOの膨大な量の音声パターンを主に記録する内部メモリも16GB積んでいます。
SDOSSの構造はSolidWorksというCADソフトを使ってデザインしました。SolidWorksはこのような複雑な構造のデザインに必要な衝突検知、クリアランス、干渉認識といった機能を備えています。
また、SolidWorksにはCircuitWorksも付いており、アンドロイドボックスの中身もこれで設計しました。CircuitWorksの紹介は下記ビデオにて。
これが以前皆さんに紹介した3D出力して、紙ヤスリをかけた塗装済みのみらいちゃんです。ヘッドは大量生産用に塗装マスクを作らなければいけなかったので今は手元にありません。塗装マスクは3週間後に出来上がる予定。
塗装マスクは言わばステンシルのようなもので、ドールの顔の上に被せて塗料をスプレーして使われます。顔に6工程の塗料がある場合は6枚のマスクが必要となります。
みらいちゃんのデフォルト衣装となる夏制服はタイ、ウィッグは韓国、そしてドール本体は国内で生産されます。
これは今迄触れて来ませんでしたが、僕のドールは高齢者のドールセラピーという療法にも役立てて欲しいと思っています。予定としてはドールセラピーが行われている高齢者介護施設に幾つか寄付します。
「ミニ・ミライ」外箱の前面には唯々月たすく先生に描いて頂いたみらいのイラストを使用。
100年前の男性とドールのツーショットは以前にもスライドでお見せしましたが、ドールは実際それよりもっと昔の有史以前から人間に親しまれて来ました。バビロニア時代の遺跡からは四肢が可動するドールの破片が見つかったという報告もあります。
紀元前2000年の頃のエジプトの墓場からは陶器人形も発見されています。発掘された最古のドールには粘土、木、布、骨や中には象牙や蝋等の特徴的な材質で作られているものもあります。
紀元前600年からは四肢が可動したり、衣服が着せられているドール等が発見されています。ドール製作が栄え始めたのは16-17世紀頃のヨーロッパで、1800年代に初めてドールの大量生産が行われました。ドールパーツの材料にはパルプ材や紙等が使われていました。
1850年からは蝋人形が人気を集め始め、1900年代からは磁器人形の生産が活発になりました。第二次世界大戦が終わるとドールメーカーはプラスチックを使った人形製作に着手するようになりました。
ただ、残念ながら悪い知らせがあります。資本が底を付いてしまったのでミニ・ミライの大量生産は一旦ここら辺でストップさせます。とは言え、これまで出来た成形3セットは完成させる予定です。
この写真はアマゾンでウェブサイトマネージャーを務めていた頃のオフィスです。僕はアマゾンの初期メンバーだった為、様々なストックオプションを貰う事が出来、それを元に会社を経営してきましたが、今では殆ど残っていません。投資はどの団体からも受け取らず、もえかなとテレビ番組カルチャージャパンから出た利益で経営してきました。
投資家になりえる人達と何人かは話しましたが、彼らは口を揃えて僕が現実的な出口戦略を持っていないと指摘します。投資家は投資を検討する際に、何時投資額が戻って来て、どのくらいの利益が生まれるかを知りたがるのです。
でも彼らの意見は否定はしません。僕はこの会社を将来的に売却して儲ける為に経営しているのではなく、純粋に日本が好きで生涯ずっと日本文化を世界中に発信し続けたくて経営しているので、出口戦略は本当に持っていません。
何故両親から資金援助を請わないのか、という質問を受ける事も多々ありますが、こういう人達には僕は「貴方が両親にお金を要求しているからって皆がそうしている訳じゃない」とよく答えています。
険しい道程を選択してこそ人生です。穏やかな海と荒れた海の2つのルートの選択に迫られたとしたら、正しい答えは明らかに「荒れた海」です。険しいルートを選べば未知なるチャレンジに遭遇し、簡単なルートでは得られない経験をする事ができます。
簡単な道を選んでも学ぶ事など何一つありません。
人生では最も予期していない時にチャレンジが訪れ、厄介事に直面した際に知識と経験が備わっていないとより困難な状況に陥ります。
この写真は僕がイギリスに住んでいた頃に撮ったものです。楽なルートを選択して両親の元で甘える事も出来ましたが、僕は敢えて様々な人生経験ができるルートを選び、やがて日本に移住して大好きな分野で働けるようになりました。
貯金を溜めながら日本料理店でウェイターを長年務めた事もあるので、僅かなお金でも稼ぐ事がいかに大変か身に染みる思いもしました。これを通して学べた事や経験できた事はプライスレスです。
唯々月たすく先生のイラストを元に作られた僕のミニ・ミライ。
さっきも触れましたが、製作途中の成形は完成させて塗装マスクも完成させますが、一稼ぎするまでは僕の夢であるミニ・ミライの大量生産はお預けです。
こんな肝心な時にお金が無くなってしまうのは本当に残念ですが、こういった物事は必ず理由があって起こるものだと人生を通して理解できるようになりました。今すぐ分からなくても必ず後から見えてくる、そういうものです。
更新じゃ!エイプリルフールではないかと思ったユーザーは多かったみたいですね。計画通りや!とほほ。
本当のことはこの記事で明らかにしています ^o^